ぱーと4
2007年6月16日、県立奄美図書館にて行われました「あまみならでは学舎 西 和美の島唄講座」のテキストです。
WEB用に、元のテキストの一部を改変してあります。
すばやど節
宇検村でさかんに歌われ、他の地域では瀬戸内町の一部で唄われるくらいです。「すばやど(側家戸)」というのは、表間の戸口に対して横の戸の事ですが、そこを開けて愛しい人がやってくるのを待っているのに、嵐のためになかなかやってこない、と歌われます。「口結び」をすませた二人は、実際上は結婚生活が始まるわけですが、昔は、すぐに同居するのではなく、夜、男性が親と一緒に住む女性のほうに通う、「妻問(つまと)い婚」という結婚形態が奄美にも生きていたことの証しではないか、と考えられています。
よく唄われる歌詞です。大意は、
側家戸を開けて貴方を待っています。
来てくれるのでしょうか。
夜嵐は激しく、貴方は見えません。
枕を用意して待ちなさい、
布団を敷いて待ちなさい。
私は嵐に隠れ、風とともに忍んで行こう。
すばやどば開けてぃ 加那待ちゅる夜や
はれくれぃくれぃ ぃきゃあしゅんがい
夜嵐やしげく 加那や見やらぬ
枕とぅてぃ待て 寝敷きひいて待て
わぬや夜嵐に
風つれてしぬでぃ行きゅる
渡しゃ
大島でも「喜界渡しゃ」という所があるように、かつて喜界で盛んに歌われた唄だったと考えられます。手ぬぐいで頬かぶりをし、滑稽な格好をして面白おかしく三線(さんしん)やチヂンにあわせて踊るという、楽しくにぎやかな唄ですが、その元唄は、舟を漕ぐときに歌う「船こぎイトゥ」であったのではないかと考えられています。
よく唄われる歌詞です。大意は、
喜界には六つの村、
大島には七つの村。
その間に橋を掛けて、
私の恋人を渡しておくれ。
ハレー 喜界や六間切
ハレー 大島や七間切
中に橋かけて
吾加那渡しぶしゃや
一切朝花節
「朝花」という言葉を節名に持つ唄に三曲あります。「長朝花節」「朝花節」そしてこの「一切(ちゅっきゃり)朝花節」です。「長朝花節」が重ぢょうとしていかにもというほどに祝いつけとしての雰囲気を持ち、「朝花」(別名 はやり節)はそれを少々軽めにして、唄遊びなどの気軽な席での挨拶唄として唄われ、「一切朝花節」は、「はやり節」よりももっと洒脱(しゃだつ)に、にぎやかに場を楽しくさせてくれます。
また、「別れ朝花節」とも呼んで、「朝花節」ではじまった宴会を締める唄ともされています。よく唄われる歌詞です。大意は、
しま一番の美人といわれて
貰った妻(とぅじ)ですが、
母(あんま)が気に入らないというのでは、
とてもしま一番の嫁とは言えません。
ヨーハレー 島一番ち
もらたん 妻くゎ
御母が気に入らだな
島一番や なりきりゃんど
→ かずみのしま唄解説 ぱーと3はこちらです。
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